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町田・相模原の中小企業が迷いやすい「株式譲渡と事業譲渡の違い」完全整理|承継方法・契約・従業員・許認可・税務の判断軸

2026 6/06
コラム
2026年6月6日
町田・相模原の中小企業が迷いやすい「株式譲渡と事業譲渡の違い」完全整理|承継方法・契約・従業員・許認可・税務の判断軸

町田・相模原の中小企業が迷いやすい「株式譲渡と事業譲渡の違い」完全整理|承継方法・契約・従業員・許認可・税務の判断軸

目次

はじめに

東京都町田市、相模原市、多摩南部では、後継者不在や人材確保の難しさ、原材料高や金利動向、取引先からの品質要求の高度化などを背景に、「会社全体を譲るべきか、それとも一部事業だけを切り出して譲るべきか」で悩む中小企業の経営者が増えています。M&Aを検討し始めた段階では、「株式譲渡」「事業譲渡」という言葉だけが先に出てきてしまい、どちらが自社に向いているのか分からないまま話が進み、不安だけが大きくなることも珍しくありません。

結論から言えば、株式譲渡と事業譲渡は、どちらが絶対に有利というものではありません。会社を丸ごと引き継いでもらうことが最適なケースもあれば、不採算部門や非中核事業を切り出して譲るほうが譲渡企業・買い手の双方にとって合理的なケースもあります。大切なのは、価格だけで選ばず、契約、税務、従業員、許認可、取引先との関係、経営者保証、引継ぎ負荷まで含めて比較することです。

特に町田・相模原・多摩南部の中小企業では、地域密着の顧客基盤、長年の従業員関係、金融機関との取引、賃貸借契約、協力会社ネットワーク、代表者個人への依存などが強く、M&Aの方式によって実務負担が大きく変わります。見た目のスキームだけを比べても判断を誤りやすく、現場の引継ぎまで具体的に想定しておく必要があります。

本記事では、町田M&A総合センターが、町田市・相模原市・多摩南部の中小企業オーナー向けに、株式譲渡と事業譲渡の違いを体系的に解説します。検索段階の方にも分かりやすいよう、まず全体像を整理し、その後で具体例、注意点、判断基準、相談前に整えるべき資料まで落とし込みます。中小M&Aガイドラインで重視される説明責任、利益相反管理、秘密保持、適切な情報開示という観点も踏まえ、実務上の落とし穴を避けるための視点をお伝えします。

なお、本稿は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別案件の法務・税務・労務判断を代替するものではありません。実際に進める際は、案件の状況に応じて弁護士、税理士、社会保険労務士等の確認を受けることを前提にお読みください。


この記事で先に押さえたい要点

  • 株式譲渡は「会社そのもの」を引き継ぐ方法で、許認可や契約関係を維持しやすい一方、簿外債務や過去リスクの整理が重要になります。
  • 事業譲渡は「特定の事業や資産・契約だけ」を切り出して譲る方法で、不要事業を残しやすい一方、個別契約の承継や再契約の手間が大きくなりがちです。
  • 価格だけではなく、従業員の承継方法、金融機関対応、賃貸借、許認可、主要取引先説明、税務コストまで比較しないと判断を誤ります。
  • 地域密着型の中小企業では、代表者依存や顧客関係の引継ぎが成否を左右するため、方式選択と同時に引継ぎ設計を考える必要があります。
  • まだ売ると決めていない段階でも、どの方式が自社に近いかを整理しておくと、企業価値評価や買い手候補探索の精度が上がります。

1. 株式譲渡と事業譲渡の基本的な違い

まず、言葉の意味を正しく整理します。ここが曖昧なままだと、相談時に認識がずれます。

1-1. 株式譲渡とは

株式譲渡は、オーナーが保有している株式を買い手へ譲渡し、会社の支配権そのものを移す方法です。売買の対象は個々の機械や店舗だけではなく、会社全体です。したがって、原則として会社名、法人格、雇用関係、取引契約、口座、許認可、過去からの会計記録などは、法人に紐づいたまま残ります。

中小企業M&Aで最も多く用いられるのがこの方法です。理由は、会社を丸ごと引き継げるため、買い手にとって事業継続がしやすく、譲渡企業にとっても個別資産を一つひとつ移すより手続負担を抑えやすいからです。

ただし、会社全体を承継するということは、良い資産だけでなく、未払残業代リスク、税務上の論点、契約上の義務、古いクレーム、在庫評価の問題なども含めて引き継がれる可能性があるという意味でもあります。そのため、買い手はデューデリジェンスを重視し、表明保証や補償条項の交渉も細かくなりやすい傾向があります。

1-2. 事業譲渡とは

事業譲渡は、会社全体ではなく、特定の事業、資産、契約、ノウハウ、在庫、設備、商標、顧客基盤などを選んで譲渡する方法です。たとえば、「本社は残し、相模原の一部事業だけを譲る」「赤字事業だけ切り離す」「製造部門は残して小売部門だけ譲る」といった設計が可能です。

一方で、会社が自動的にそのまま移るわけではありません。従業員の移籍、取引先契約の再締結、賃貸借契約の承諾、許認可の再取得など、個別に手当てしなければならない論点が多くなります。スキームの自由度は高いものの、実務の難易度も上がりやすい方式です。

1-3. 一番大きな違いは「何を引き継ぐか」

両者の違いを一言でまとめると、株式譲渡は「会社をそのまま引き継ぐ」、事業譲渡は「必要なものを選んで引き継ぐ」です。

この違いが、次の論点に波及します。

  • 契約の承継方法
  • 従業員の引継ぎ方法
  • 許認可の扱い
  • 金融機関・借入・経営者保証の扱い
  • 税務上の負担
  • 買い手のリスク認識
  • クロージングまでの期間

つまり、方式選択は単なる法形式の違いではなく、実務全体の設計そのものです。


2. どちらを選ぶかで何が変わるのか

ここでは、経営者が実際に比較すべき観点を整理します。

2-1. 会社を丸ごと残したいなら株式譲渡が有力

長年築いてきた法人格、商号、従業員体制、主要取引先との契約、金融機関との関係をできるだけ切れ目なく維持したい場合、株式譲渡が有力です。町田市や相模原市の地域密着企業では、「会社名が継続すること」「従業員の雇用関係を大きく動かさないこと」「既存顧客が違和感なく取引を続けられること」が非常に重要です。

特に次のような企業では、株式譲渡の相性が良いことが多いです。

  • 長期継続の取引契約が多い
  • 許認可や登録の継続性が重要
  • 従業員数が一定規模あり、個別再契約の負荷が大きい
  • 金融機関との関係を大きく変えたくない
  • 代表者引退後も会社を同じ枠組みで残したい

2-2. 一部事業だけ切り離したいなら事業譲渡が有力

一方で、会社全体は譲りたくないが、特定部門だけ承継したい場合や、複数事業のうち一部だけを譲りたい場合は、事業譲渡が検討しやすくなります。

たとえば、次のようなケースです。

  • 本業に集中するため、周辺事業だけ売却したい
  • 後継者がいない店舗事業だけ譲りたい
  • 不採算部門を切り出し、従業員の雇用先を確保したい
  • 会社全体には過去リスクがあり、買い手が全承継を避けたい
  • 買い手が必要としているのが設備、顧客、スタッフの一部だけ

この場合、事業譲渡は柔軟です。ただし、柔軟であることと簡単であることは別です。自由度が高い分、何をどこまで譲るかを明確に定義しなければならず、曖昧さが残るとクロージング直前で揉めやすくなります。


3. 契約・資産・負債の承継はどう違うか

3-1. 株式譲渡では原則として会社に残る

株式譲渡では、会社自体が同一であるため、資産も負債も原則そのまま会社に残ります。売掛金、買掛金、借入、在庫、固定資産、リース、未払費用などは、法人に帰属したままです。買い手が株式を取得することで、その会社の実質的なオーナーが変わるイメージです。

このため、買い手は「引き継ぐ負債やリスクの全体像」を非常に気にします。表面上の決算書に表れない論点まで確認されるのは自然です。譲渡企業としては、「うちは問題ないはず」と感覚で進めるのではなく、事前に未整理論点を洗い出しておくことが重要です。

3-2. 事業譲渡では承継対象を個別に決める

事業譲渡では、どの資産を移すか、どの契約を移すか、どの在庫を含めるか、どの従業員を移籍対象にするかを個別に決めます。つまり、「渡したいものだけを渡せる」一方、「書かなかったものは原則残る」と考える必要があります。

ここでよく起きる誤解が、「事業譲渡ならリスクも全部切り離せる」というものです。実際には、買い手が引き継ぎたい契約の相手方承諾が得られない、主要スタッフの同意が取れない、設備の名義変更が想定より重い、といった問題が起きます。形式上は切り分けられても、現場運営に必要な要素がつながっているため、簡単には分断できないことが多いのです。

3-3. 「残すもの」の設計も重要

事業譲渡では譲る範囲に注目しがちですが、実は残すものの整理も同じくらい重要です。残存会社に何が残り、どの負担を誰が持つのかが不明確だと、譲渡企業側に思わぬ資金負担や清算負担が残ります。

たとえば、次のような論点は見落とされやすいです。

  • 使わなくなる本社賃貸借契約の処理
  • 余剰在庫や遊休資産の残存
  • 残る役員借入金や個人立替金
  • 残存会社の税務申告や清算コスト
  • 既存借入の返済原資

したがって、方式の比較は「売る部分」だけでなく、「売った後に自社へ何が残るか」まで含めて行う必要があります。


4. 従業員の引継ぎはどう変わるか

4-1. 株式譲渡は雇用継続が比較的スムーズ

株式譲渡では会社自体が変わらないため、原則として従業員の雇用契約はそのまま継続します。会社名や就業場所、制度設計が大きく変わらない限り、現場から見れば「株主が変わった」という形です。もちろん説明は必要ですが、雇用の再契約が必須になるわけではありません。

町田・相模原エリアの中小企業では、熟練社員や長年のパートスタッフが事業価値の中心になっていることが多く、雇用を安定的に維持しやすい点は大きな利点です。

4-2. 事業譲渡は個別同意が実務上の山場になりやすい

事業譲渡では、従業員の雇用契約をそのまま自動承継できるわけではありません。通常は、移籍対象となる従業員の同意を得たうえで、新しい雇用契約や転籍手続きを進めることになります。

ここで難しいのは、従業員にとっては「会社が変わる」「待遇が変わるかもしれない」「将来が見えない」という不安が出る点です。説明タイミングを誤ると、退職や情報漏えいにつながるおそれがあります。一方で、説明を遅らせすぎると同意取得の時間が足りなくなります。

つまり、事業譲渡では法務だけでなく、説明順序、誰が話すか、待遇差の有無、移籍しない従業員の扱いまで含めて設計しなければなりません。

4-3. 人が価値の中心の会社ほど早めの設計が必要

サービス業、介護、修理、飲食、専門工事、IT受託、デザイン、製造現場など、人材の継続が価値の中心である会社では、方式選択以上に「人の承継」が重要です。買い手が欲しいのは売上だけではなく、運営を支えるチームだからです。

この場合、次の確認が欠かせません。

  • キーパーソンは誰か
  • 退職リスクの高い人は誰か
  • 給与水準や制度差はあるか
  • 移籍後の指揮命令系統はどうなるか
  • オーナー依存業務を誰へ引き継ぐか

方式の議論が抽象的なままだと、最終局面で「この人が残らないなら価格を見直したい」という交渉が起きることがあります。早い段階から人の論点を見える化しておくべきです。


5. 許認可・賃貸借・取引契約はどこが難しいのか

5-1. 許認可は「そのまま使える」と思い込まない

建設業、古物、運送、飲食、医療関連、各種登録事業など、許認可や届出が事業継続に不可欠な業種では、方式選択の影響が大きく出ます。株式譲渡なら法人格が変わらないため比較的継続しやすい一方、事業譲渡では新たな許認可取得や届出変更が必要になる場合があります。

ただし、株式譲渡であっても役員変更や実質支配者変更の届出、許認可維持要件の確認が必要なことがあります。したがって、「株式譲渡なら全部そのまま」「事業譲渡なら全部やり直し」と単純化せず、業種ごとの制度を具体的に確認する必要があります。

5-2. 賃貸借契約は見落としやすい

町田・相模原エリアの中小企業では、店舗、工場、倉庫、事務所が賃貸物件であることも多く、賃貸借契約の承継は重要論点です。事業譲渡の場合、貸主承諾が必要になることが多く、条件変更を求められることもあります。株式譲渡でも、契約条項にチェンジ・オブ・コントロール条項が入っていれば、事前承諾や通知が必要になる場合があります。

賃貸借契約は事業の所在地そのものに直結するため、ここで躓くと案件全体が止まります。特に、商圏価値が立地に依存している店舗事業では、賃借権の処理を早めに確認すべきです。

5-3. 主要取引先との契約も個別に見直す

BtoBの中小企業では、主要取引先との基本契約、秘密保持契約、外注契約、保守契約などが売上継続の前提になっています。事業譲渡ではこれらを再締結する必要が出ることがあり、株式譲渡でも支配権変更条項が問題になることがあります。

ここで重要なのは、契約書があるかどうかだけではありません。実務上は書面より商習慣が優先しているケースもあり、「担当者との信頼関係」で回っている案件もあります。契約の承継と並行して、誰がどの順番で説明するかを計画しなければなりません。


6. 税務の違いは価格の見え方にも影響する

方式選択で誤解が多いのが税務です。価格だけを見て「高く売れた」と感じても、最終的な手残りが想定より少ないことがあります。

6-1. 株式譲渡はオーナー側の手残りを比較しやすいことが多い

株式譲渡では、株主が株式を売却して対価を受け取る構造になるため、譲渡企業オーナーが個人で株式を保有しているケースでは、手残りの見通しを比較的整理しやすい場合があります。もちろん株式の取得経緯や持株比率、役員貸付金の回収など個別要素はありますが、スキームとしては理解しやすいです。

6-2. 事業譲渡は会社段階と個人段階を分けて考える必要がある

事業譲渡では、対価を受け取るのは通常、会社です。その後、譲渡企業オーナーが会社から資金を取り出すには、配当、役員退職金、清算分配など別の論点が出ます。つまり、「会社が受け取るお金」と「オーナー個人の手残り」は一致しません。

この差を理解しないまま価格だけ比べると、「事業譲渡のほうが高値に見えたのに、最終手残りは必ずしも有利ではなかった」という事態が起こります。税務は案件ごとの差が大きいため、早期に税理士視点を入れることが重要です。

6-3. 消費税・資産区分・在庫評価なども実務上の論点

事業譲渡では、譲渡対象資産の区分、消費税の扱い、在庫や固定資産の評価など、細かい論点が多くなります。価格交渉の最終盤で、「この価格は税抜か税込か」「在庫の評価方法をどうするか」「不要資産を外すか」といった話がずれると、まとまりかけた案件が停滞します。

税務は後から修正がききにくいため、価格と同時に整理すべき項目です。


7. 経営者保証・借入との関係

町田・相模原・多摩南部の中小企業でM&A相談を受けると、価格以上に「経営者保証がどうなるか」を気にされることが多くあります。これは極めて重要な視点です。

7-1. 株式譲渡でも保証解除が自動で決まるわけではない

株式譲渡で会社がそのまま残る場合、借入も原則として会社に残ります。しかし、経営者保証がどうなるかは別問題です。買い手が引き継ぐ体制や金融機関の判断次第で、保証解除、保証差し替え、一定期間の残存などが協議されます。

したがって、「株式譲渡なら保証は消える」と考えるのは危険です。買い手との条件交渉だけでなく、金融機関への説明と合意形成が必要です。

7-2. 事業譲渡では残存会社に借入が残る設計もある

事業譲渡では、譲渡対象事業から借入を切り離し、残存会社側へ借入が残る設計になることがあります。この場合、売却代金で借入返済を進めるのか、残存会社で返済を継続するのか、清算まで見据えるのかを決めなければなりません。

見た目上は事業を譲れても、借入と保証が残れば、オーナーの心理的負担は大きく残ります。方式選択と保証解除の見通しは、必ずセットで確認すべきです。

7-3. 価格だけでなく「保証の出口」まで含めて比較する

売却価格が数百万円高い提案でも、保証解除の確実性や時期が不透明なら、総合的には不利なことがあります。反対に、価格がやや控えめでも、保証解除、役員退任時期、引継ぎ負荷、従業員維持の条件が整っていれば、オーナーにとって納得度の高い成約になり得ます。

M&Aは金額勝負に見えやすいですが、実際には出口条件の設計が同じくらい重要です。


8. 地域の中小企業で起こりやすい具体例

ここでは、町田市・相模原市・多摩南部でよくある事業類型を想定したモデルケースで考えます。いずれも一般化した例であり、実在の個社を示すものではありません。

8-1. 町田市の住宅設備施工会社

従業員15名、協力会社ネットワークあり、受注の多くが既存取引先と紹介。建設業許可と施工管理人材が価値の中心というケースでは、株式譲渡が候補になりやすいです。理由は、許可、雇用、元請との関係、進行中案件を切れ目なく引き継ぎやすいからです。

一方で、古い下請トラブルや残業管理、下請契約の整理不足があると、買い手は不安を持ちます。そのため、株式譲渡を目指すなら、譲渡企業側で事前に契約・労務・原価管理の整理をしておくことが重要です。

8-2. 相模原市の複数店舗サービス業

3店舗のうち1店舗だけオーナーが現場依存で、他2店舗は継続運営可能というケースでは、事業譲渡が候補になることがあります。買い手が欲しいのが採算の良い1店舗だけであれば、事業譲渡で対象を限定するほうが合理的です。

ただし、スタッフ移籍、店舗賃貸借の承諾、仕入先の再契約、ポイント会員や予約システムの移管など、実務負荷は高くなります。価格だけでなく、クロージング後の移行計画まで具体的に持てる相手かを見極める必要があります。

8-3. 多摩南部の製造加工業

設備、熟練人材、取引先ごとの品質ノウハウが価値の中心で、オーナーが営業と資金繰りを担っているケースでは、株式譲渡でも事業譲渡でも成立余地があります。会社全体の管理体制が整っていれば株式譲渡、特定ラインだけを買い手が欲しているなら事業譲渡、という判断になり得ます。

このタイプで重要なのは、「何が会社の価値の本体か」を明確にすることです。設備なのか、人なのか、顧客認証なのか、製造ノウハウなのかで、相性の良いスキームが変わります。


9. 株式譲渡が向いている会社の特徴

次の特徴がある会社は、株式譲渡を第一候補にしやすい傾向があります。

  • 法人格を維持したまま事業継続したい
  • 主要契約、許認可、雇用関係を切らしたくない
  • 代表者保証の整理を金融機関と並行して進めたい
  • 買い手が会社全体の取得を希望している
  • 複数部門が連動していて切り分けが難しい
  • 顧客や仕入先との関係が会社全体で形成されている
  • 自社の管理体制が比較的整っており、デューデリジェンスに耐えやすい

ただし、向いているからといって無条件に有利ではありません。簿外債務、税務リスク、労務問題、役員借入金、私的経費混在、関連当事者取引などがある場合、買い手の不安が高まり、価格調整や補償条件が厳しくなることがあります。


10. 事業譲渡が向いている会社の特徴

一方で、次のような特徴がある場合は、事業譲渡の検討余地が高まります。

  • 一部事業だけを譲りたい
  • 会社全体ではなく、特定店舗・特定部門だけを売りたい
  • 買い手が必要とする範囲が限定的
  • 会社全体には買い手が引き継ぎにくい要素がある
  • 事業ごとの採算や資産が比較的切り分けやすい
  • 譲渡企業が残存会社で別事業を継続したい

ただし、事業譲渡が向いている場合でも、実務の重さは軽くありません。承継対象の定義、契約の相手方承諾、従業員同意、システム移行、在庫と売掛の区分、ブランド表示の変更など、現場論点が多いため、スケジュールには余裕が必要です。


11. よくある誤解と失敗パターン

11-1. 「高く売れそうな方式」を先に決めてしまう

最初から「株式譲渡のほうが高値になりそう」「事業譲渡のほうがリスクを切れる」と決め打ちするのは危険です。実際には、買い手候補の属性、業界、資金力、承継目的によって、評価の出方は変わります。

方式は価格のためだけでなく、成立可能性のために選ぶものです。

11-2. 契約書より現場運営の実態が重要なのに、資料だけで済ませようとする

M&Aで承継されるのは書類だけではありません。顧客対応、受発注、クレーム処理、シフト、技能継承、設備保守、営業の暗黙知など、現場実務の連続性が極めて重要です。方式だけ議論して、運営実態の引継ぎを後回しにすると、クロージング後に価値が毀損します。

11-3. オーナー依存を過小評価する

町田・相模原・多摩南部の中小企業では、代表者個人が営業、採用、資金繰り、品質判断、主要顧客対応を抱えていることが少なくありません。この状態で「会社ごと売れば大丈夫」「一部事業だけ切れば回る」と考えるのは危険です。

買い手は、オーナーが抜けたあとに回るかを見ています。方式検討と同時に、オーナー依存業務の棚卸しが必要です。

11-4. 秘密保持の順番を誤る

M&Aでは、方式を検討している初期段階ほど秘密保持が重要です。従業員、取引先、金融機関へ一斉に伝えるのではなく、匿名相談、NDA、ノンネーム資料、IM、面談という順序で段階的に進めることが一般的です。方式ごとの比較を始める段階でも、情報開示の順番は慎重に設計すべきです。


12. 方式を決める前に確認したい実務チェックリスト

相談前の整理として、最低限次の項目を確認しておくと、方式比較の精度が上がります。

  • どの事業を残したいか、どこまで譲ってもよいか
  • 会社全体の売却を許容できるか
  • 主要取引先上位10社と契約形態
  • 賃貸借契約、リース契約、保守契約の一覧
  • 許認可、届出、更新期限の一覧
  • 従業員の雇用区分、キーパーソン、退職リスク
  • 借入一覧、経営者保証の有無、担保設定の状況
  • 役員借入金、個人立替、関連当事者取引の有無
  • 不採算部門と黒字部門の収支区分
  • オーナーが自分で抱えている業務の棚卸し

これらが整理できていれば、株式譲渡と事業譲渡のどちらが近いかをかなり具体的に議論できます。逆に、この整理がないまま買い手探しを始めると、候補先への説明がぶれ、価格や条件の交渉も不利になりやすくなります。


13. まだ売ると決めていない段階でも比較しておく意味

「まだ売却を決断していないのに、方式の話までするのは早いのではないか」と感じる方もいます。しかし、実際には逆です。早い段階で株式譲渡と事業譲渡のどちらに近いかを整理しておくことで、次の判断がしやすくなります。

  • 企業価値評価の前提が明確になる
  • 必要資料が絞りやすくなる
  • 買い手候補の種類が見えてくる
  • 秘密保持を前提にノンネーム資料を作りやすくなる
  • 従業員や金融機関への説明順序を考えやすくなる

つまり、方式比較は「売ると決めた後の作業」ではなく、「本当に売れるのか、どんな相手なら合うのか」を見極めるための準備です。無理に急がなくてよいからこそ、初期段階で落ち着いて整理する価値があります。


14. 譲渡企業手数料0円でも、判断を急がないことが重要

町田M&A総合センターでは、譲渡企業様の手数料0円という特徴がありますが、だからといって早く結論を出すことが正しいわけではありません。大切なのは、譲渡方式、価格、従業員の処遇、秘密保持、買い手候補の適性、経営者保証、引継ぎ体制を順番に整理し、納得できる形に整えることです。

中小M&Aガイドラインの観点でも、支援者には説明責任、利益相反管理、契約内容の明確化、情報管理の徹底が求められます。方式の比較はその中核にあります。譲渡企業にとって分からない論点を曖昧なまま進めるのではなく、何が分かっていて、何が未確認かを可視化しながら進めることが重要です。


まとめ

株式譲渡と事業譲渡の違いは、単なる言葉の違いではありません。何を引き継ぐのか、誰にどんな手間が発生するのか、どのリスクが残るのか、どこまで会社を残したいのかという、M&A全体の設計に直結します。

株式譲渡は、会社を丸ごと引き継ぎ、雇用・契約・許認可の継続性を保ちやすい一方で、過去リスクの整理やデューデリジェンス対応が重要です。事業譲渡は、必要な事業だけを切り出せる柔軟性がある一方、従業員同意、契約承諾、許認可、税務など個別実務が重くなりやすい特徴があります。

どちらを選ぶべきかは、会社の実態、譲渡企業様の希望、買い手候補の属性、地域特性、引継ぎ体制によって変わります。価格だけで決めず、秘密保持、経営者保証、従業員、主要取引先、許認可、残存会社の整理まで含めて比較することが、後悔しないM&Aにつながります。

町田市・相模原市・多摩南部で、会社全体を譲るべきか、一部事業だけを譲るべきか迷っている場合は、まだ売ると決めていない段階でも構いません。町田M&A総合センターでは、匿名相談と秘密保持を前提に、譲渡方式の整理、企業価値評価の考え方、買い手候補探索の方向性、経営者保証や引継ぎ負担の論点まで、初期段階から整理できます。まずは「何を残したいか」「何を引き継いでほしいか」を言語化するところから、ご相談ください。

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株式会社M&A Do

〒107-0061 東京都港区北青山一丁目 3 番 1 号 アールキューブ青山 3 階
代表取締役: 濱田 啓揮
設立年月日: 2021年4月2日
適格請求書発行事業者番号: T8010001217238

運営会社情報 / 公式サイト

連絡先

03-4560-0084

受付: 平日 10:00-17:00
info@ma-mado.com

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